グラフで見る世界のHIV/AIDS

~国連合同エイズ計画(UNAIDS)資料より~

いま世界のHIV/AIDSの現状はどのようになっているのでしょうか?
世界的に予防や治療アクセスが変わりつつあるなかで、どのような変化が起きているのでしょうか?
そして、地域によってどのような特徴があるのでしょうか?
国連合同エイズ計画(UNAIDS)が発表しているデータから、いくつかのキーとなる数字をまとめてご紹介します。
 
 

HIV陽性者の人数の推移(上)
1年間に新たにHIVに感染した人数の推移(下)

 世界で1年間に新たにHIV感染が判明した人数は、1990年代後半をピークにして減少していることがわかります。そのため、HIV陽性者の人数の推移は、1990年代の急激な増加から、2000年代はより緩やかな増加へと転じています。しかし、これは増加が緩やかになっただけで、HIV陽性者が減少しているというわけではありません。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

地域別に見たHIV陽性者の人数(2016年)

 HIV陽性者の人数を地域別に見てみると、[東部及び南部アフリカ]が1,940万人、[西部及び中央アフリカ]が610万人ですので、サブサハラと言われる地域の合計は2,550万人です。これは全世界のHIV陽性者の7割にあたります。グラフにはありませんが、HIV陽性者数では4.4%に過ぎない[東ヨーロッパ及び中央アジア]が、新たに感染した人の割合では1割を超えていたり、[アジア太平洋]での新たな感染も世界の15%にのぼっていたりするなど、サブサハラ以外の各地域にも課題が多くあることがわかっています。
 
 

抗HIV治療を受けている人の数(上)
抗HIV治療を受けている人の割合・エイズ関連で死亡した人の数(下)


抗HIV治療の普及状況には大きな変化があります。2000年には世界で2,770万人のHIV陽性者がいたと推定されていますが、このうち治療を受けることができたのは68万人で、全体のたった2.4%でした。2000年代に入ってから、多くのHIV陽性者が治療を受けられるようにする国際的な取り組みが盛んになり、治療を受けることができる人数は急激に増加しました。2005年には200万人を超え、2010年には770万人、2016年には1,950万人だっ
たと見られています。これは53.1%にあたります。このように抗HIV治療が普及している間に、エイズ関連での1年間の死亡者数は、2000年代半ばをピークに減少に転じ、2016年は約100万人だったと推定されています。
 
 
 
 
 
 
 

HIV陽性者の性別・年齢層(2016年)

 世界のHIV陽性者の性別は、おおよそ男女が半数ずつをしめており、年齢層は幅広く分布しています。子ども(0歳~14歳)が5.7%、若年層(15歳~24歳)が10.9%、中高年(50歳以上)が15.5%ですので、残る67.9%が25歳~49歳の青壮年層ということになります。
 
 

新規感染者に占めるキーポピュレーションの割合(2014年)

 感染リスクにさらされやすい「キーポピュレーション」の割合は、地域によって大きくことなります。[西部及中央ヨーロッパと北米]や[ラテンアメリカ及びカリブ海]では[ゲイ男性及び男性とセックスをする男性]が多く、日本が属している[アジア太平洋]でも少なくありません。[東ヨーロッパ及び中央アジア]では圧倒的に[注射薬物使用者]が多く、[アジア太平洋]でも比較的多いです。一方、サブサハラではこれらのキーポピュレーションの割合が低いのが特徴です。

<文献>
● UNAIDS「DADA BOOK 2017」 http://www.unaids.org/sites/default/files/media_asset/20170720_Data_book_2017_en.pdf [1][2]
● UNAIDS 「Core epidemiology slides, June 2017」 http://www.unaids.org/sites/default/files/media_asset/UNAIDS_2017_core-epidemiology-slides_en.pdf [3]
● UNAIDS「Fact sheet - Latest statistics on the status of the AIDS epidemic.」
http://www.unaids.org/sites/default/files/media_asset/UNAIDS_FactSheet_en.pdf [4][5]
● UNAIDS「Global AIDS Update 2016」 http://www.unaids.org/sites/default/
files/media_asset/global-AIDS-update-2016_en.pdf [5][7]
● UNAIDS AIDS Info(2017年10月閲覧) http://aidsinfo.unaids.org/ [6]

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